勤務医のiDeCo掛け金の上限は何円?注意点まで徹底解説!

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勤務医のiDeCo上限額が分かりにくい理由

勤務医の方の中には、iDeCo(個人型確定拠出年金)を利用したいと考えている方も多いでしょう。しかし、調べていくうちにiDeCoの掛け金の上限が分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

大きな病院に勤務する場合、DB(確定給付企業年金)に加入していることが多く、iDeCoの上限が複雑になります。普通の会社員はDC(確定拠出年金)のことだけを考慮すればよいのですが、勤務医はこれに加えてDBの条件も関係してくるのです。

本記事では、勤務医がiDeCoを利用する際の上限額について詳しく解説します。

勤務医の掛け金上限は基本的には12,000円

勤務医がiDeCoを利用する場合、掛け金の上限額は勤務先の年金制度により異なります。

  1. 企業年金なしの場合:月額23,000円
  2. 確定拠出年金(DC)のみ加入の場合:月額20,000円
  3. 確定給付年金(DB)のみ加入の場合:月額12,000円
  4. DCとDBの両方に加入の場合:月額12,000円

病院勤務であれば確定給付年金に加入しているケースが多いため、基本的に勤務医は月額12,000円がiDeCoの掛金の上限額となるのです。

勤務医が確定給付年金(DB)と確定拠出年金(DC)のどちらに加入しているかは、勤務する医療機関やその医療機関の年金制度によって異なります。

2024年12月からは上限額が20,000円に

年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律(2020年6月5日公布)によって、2024年12月1日からDC,DBとの併用時のiDeCoの掛け金上限額が20,000円に引き上げられることが決定されています。

2024年12月1日以降のiDeCoの掛け金上限額は以下のようになります。

  1. 企業年金なしの場合:月額23,000円
  2. 確定拠出年金(DC)のみ加入の場合:月額20,000円
  3. 確定給付年金(DB)のみ加入の場合:月額20,000円
  4. DCとDBの両方に加入の場合:月額20,000円

そもそも確定給付年金と確定拠出年金とは?

確定給付年金(DB)

確定給付年金は、将来の給付額があらかじめ決まっている年金制度です。病院や大規模な医療法人、大学病院などでは、確定給付年金を採用しているところが多いでしょう。確定給付年金の利点は、退職後の年金額が確定しており、将来の生活設計がしやすいことです。

確定拠出年金(DC)

確定拠出年金は、掛金が確定しており、将来の給付額は運用成果によって変動する年金制度です。中小規模の医療機関やクリニックなどでは、確定拠出年金を採用している場合もあります。確定拠出年金の利点は、運用成果によっては給付額が増える可能性があることです。また、自分自身で運用先を選ぶ自由度が高いという点もあります。

総合的な傾向

全体的には、勤務医がどちらの年金制度に加入しているかは、医療機関の規模やポリシーに依存します。大規模な医療機関では確定給付年金が一般的である一方、中小規模の医療機関では確定拠出年金が採用されることが多いです。

  1. 大学病院: 確定給付年金(DB)を採用していることが多い。
  2. 民間の総合病院: 確定給付年金(DB)または確定拠出年金(DC)のいずれか。
  3. 小規模クリニック: 確定拠出年金(DC)が一般的。

このように、勤務先の年金制度に応じてiDeCoの上限が変わるため、自分がどの条件に該当するかを正確に把握することが重要です。

勤務医がiDeCoを利用するメリット

勤務医がiDeCoを利用する際の主なメリットは、税制優遇です。iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となり、所得税や住民税の負担を軽減できます。また、運用益も非課税となり、受け取り時にも一定の税優遇措置が適用されます。

この税制優遇によって、勤務医として高い収入を得ている方でも、効率的に資産形成を行うことができます。たとえば、毎月の掛け金を最大限利用することで、老後の生活資金をしっかりと準備できます。

どの程度節税できるのか、ざっくり計算していきましょう

前提条件

  • 年収:1,200万円
  • 所得税率:33%
  • 所得税の控除額:153万6,000円
  • 住民税率:10%
  • iDeCoの掛け金:月額12,000円(年間144,000円)

所得税の計算

所得税の給与所得控除

年収1,200万円の場合、給与所得控除は次のようになります。

給与所得控除 = 195万円 + (1,200万円 – 1,000万円) × 10% = 215万円

課税所得の計算

課税所得 = 年収 – 給与所得控除 – 基礎控除48万円(仮定)

課税所得 = 1,200万円 – 215万円 – 48万円 = 937万円

所得税の計算

iDeCoの掛け金の年額144,000円を控除した後の課税所得で所得税を計算します。

課税所得(iDeCo利用後) = 937万円 – 144,000円 = 922万6,000円

所得税額 = 課税所得 × 所得税率 – 所得税の控除額
iDeCo利用前の所得税額 = 937万円 × 33% – 153万6,000円 = 155万5,100円
iDeCo利用後の所得税額 = 922万6,000円 × 33% – 153万6,000円 = 152万8,580円

所得税の節税額 = 155万5,100円 – 152万8,580円 = 2万6,520円

住民税の計算

住民税の給与所得控除

住民税の給与所得控除は次のようになります。

給与所得控除 = 162万円 + (年収 – 1,000万円) × 5%
給与所得控除 = 162万円 + (1,200万円 – 1,000万円) × 5% = 172万円

課税所得の計算

課税所得 = 年収 – 給与所得控除 – 基礎控除43万円(住民税の場合)

課税所得 = 1,200万円 – 172万円 – 43万円 = 985万円

住民税の計算

iDeCoの掛け金144,000円を控除した後の課税所得で住民税を計算します。

課税所得(iDeCo利用後) = 985万円 – 144,000円 = 970万6,000円

住民税額 = 課税所得 × 住民税率
iDeCo利用前の住民税額 = 985万円 × 10% = 98万5,000円
iDeCo利用後の住民税額 = 970万6,000円 × 10% = 97万600円

住民税の節税額 = 98万5,000円 – 97万600円 = 1万4,400円

合計節税額

所得税の節税額 = 2万6,520円
住民税の節税額 = 1万4,400円
年間の合計節税額 = 2万6,520円 + 1万4,400円 = 4万920円

10年間続けた場合の合計節税額 = 4万920円 × 10 = 40万9,200円

このように、給与所得控除を考慮して計算した結果、iDeCoを最大限に利用することで、勤務医は効率的に老後の資産形成を行うことができます。

まとめ

本記事では、勤務医がiDeCoを利用する際の上限額やそのメリットについてお伝えしました。勤務医のiDeCo上限額は基本的に月額12,000円であり、税制優遇を活用して効果的に資産形成が可能です。今後も自身の老後資金をしっかりと準備し、安心して生活できるように計画的な運用を心がけましょう。

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