医師が法人を活用して節税に成功するための3つのポイント

法人化
N先生
N先生

なぜ所得が高くなると法人を設立する方が有利であると言われているのでしょうか?法人を設立することでなぜ節税ができるのか、その仕組みや注意点についてお教えいただけますか?

  • 47歳
  • 麻酔科医(フリーランス)
  • 年収4,200万円

法人設立は、合法的な節税スキームの1つであり、主に以下の「3つの差」を活用しています。

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所得税と法人税の差

法人を設立することで節税できる最も大きな理由は、一般的に法人税の税率が所得税よりも低いためです。

所得税や社会保険料を差し引くと、給与額面の半分程度しか手元に残らないと言われているY先生も、課税所得が4,000万円を超えると所得税・住民税の税率が合計で55%に達するため、法人税の方が圧倒的に有利になります。

一方、法人税の実効税率は約33%であり、利益が800万円以下であれば、税率は約25%程度まで下がります。

課税所得が3,000万円の個人であれば、約1,500万円の税金がかかるのに対して、同じくらいの利益を出している法人は約1,000万円の法人税で済むため、最大で500万円もの税金の差が生まれます。

また、個人開業医から医療法人役員になると、国民健康保険協会けんぽに、国民年金厚生年金に切り替える必要がありますが、いずれの社会保険料も役員報酬を調整することで大幅に安くすることができます。

累進課税と所得分散の仕組み

例えば、課税所得が4,000万円の方の場合、所得税と住民税の合計は約1,720万円になります。しかし、課税所得が2,000万円の場合、所得税と住民税の合計は約720万円と、4,000万円の場合の約40%程度に減ります。所得を分散することによって、総合的に支払う税金を減らすことができます。

法人を設立することで、個人と法人の財布に所得を分散することができます。配偶者や子供にも給与を支払う仕組みを作り、財布を3つ、4つに分散している人もいます。

例えば、個人事業主であった人が法人を設立することで、社会保険料が安くなる効果があります。

国民健康保険に加入している個人事業主は、収入に比例して保険料が上がるため、保険料を安くするためには、健康保険組合に加入するか、会社を設立して給与を低く設定することができます。

医師や歯科医師の場合、医師国保や歯科医師国保に加入している人も多いです。

また、会社を設立して、役員報酬を月10万円などと設定することで、年間の社会保険料を年間20万円程度まで下げることができます。このように、所得分散を上手に活用することで、手取り額を増やすことができます。

ただし、給与所得を得ている社会保険加入者は、全ての給与所得に対して社会保険料が課されるため、この方法は使えません。所得分散を上手に活用することが、2つ目のポイントです。

課税のタイミングの差

個人と法人では課税されるタイミングが異なります。

例えば、Y様がお仕事専用に20万円のパソコンを購入したと仮定しましょう。個人の場合、その20万円は所得税・住民税が差し引かれた後に残った資金から支払われることになるでしょう。

一方、法人であれば、お仕事専用である前提ですが、法人税を課税される前に経費として課税所得から控除することができます。

つまり、上手に経費を計上することにより、課税所得を根本的に圧縮することができるのです。

もちろん、私的な衣服や旅行代などを経費とすることは認められませんが、法人を運営するために必要な費用を経費として計上することは、法人の経営者に合法的に認められている権利です。

このように、経費をうまく活用することが3つ目のポイントとなります。

医師だからこその注意点

上手に税金をコントロールされている方は、以上の3つのポイントを押さえていることが多いですが、医師の方には、さらに1つ注意点があります。

それは、医療行為に基づく報酬を株式会社や合同会社などの営利法人で受け取ることができないということです。

つまり、Y様も4000万円の所得があったとして、個人と法人で2000万円ずつ分けて受け取る、またアルバイト代は全部法人で受け取るといったことは、税務調査が入った際にその根拠を説明することができないため、非常に危険です。節税だけでなく、法人設立の目的や事業内容(非営利事業は不可)を明確に設定して、専門家と相談しながら法人設立を検討することをおすすめします。

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