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医師が知っておくべきお金と経営のニュース(2026年7月版)

経営

2026年1月から7月にかけて、医師が知っておくべきお金・経営関連のニュースを厳選してお届けします。

診療報酬改定や医師偏在是正の法制化、マイナ保険証への完全移行、iDeCoの制度改正など、この半年で医師を取り巻く制度は大きく動きました。

本記事では勤務医の方に関わるニュース開業医(クリニック経営者)の方に関わるニュースに分けて、それぞれ5つずつ、概要と実務への影響をまとめました。

2026年上半期の医師関連ニュースタイムライン。2025年12月改正医療法成立、2026年4月医師偏在是正策施行、2026年6月診療報酬改定・日銀利上げ、2026年7月マイナ保険証暫定措置終了、2026年8月高額療養費制度見直し。

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勤務医が知っておくべきニュース

勤務医とお金に関するイラスト。貯金箱(iDeCo)、住宅ローン金利、カレンダーのアイコン。

1. iDeCoの掛金上限引き上げ・加入年齢拡大(2026年12月施行)

2026年12月1日に、iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度改正が施行されます。勤務医(会社員・公務員である第2号被保険者)の掛金上限は、企業年金の有無にかかわらず一律で月額62,000円に引き上げられます。

現行の上限は企業年金なしで月額23,000円、企業年金ありで月額20,000円程度にとどまっていたため、約3倍への大幅な拡大です。あわせて加入可能年齢も「65歳未満」から「70歳未満」に広がります。ただし、実際の掛金拠出への反映は2027年1月分からとなる見込みです。

勤務医への影響: 高い所得税率が適用されやすい勤務医にとって、iDeCoの掛金は全額所得控除になるため、上限拡大は節税余地の大幅な拡大を意味します。今のうちに証券会社の口座を用意し、2027年からの上限拠出に備えておくとよいでしょう。

2. 高額療養費制度の自己負担上限引き上げ(2026年8月〜)

2026年8月から、高額療養費制度の自己負担上限額が全所得区分で引き上げられます。年収約1,160万円以上の区分では月額+17,700円、約770万〜1,160万円の区分では+11,700円など、高所得層ほど負担増の幅が大きい設計です。

一方で、がん治療や難病など長期にわたり高額な医療費がかかる方向けに「年間上限」が新設され、1年間の自己負担合計が上限に達すればそれ以降の窓口負担がなくなる仕組みも導入されます。2027年8月には所得区分がさらに13区分に細分化される第2段階の改正も予定されています。

勤務医への影響: 高所得の勤務医は、自分自身や家族が万一大きな病気にかかった際の自己負担額が実質的に増えることになります。民間の医療保険や貯蓄での備えを見直すきっかけにしましょう。

3. 日銀の追加利上げで政策金利1.0%に(住宅ローン・資産運用への影響)

日本銀行は2026年6月の金融政策決定会合で、政策金利を0.75%から1.0%へ引き上げました。1995年以来、31年ぶりの水準です。

これを受けて、住宅ローンの変動金利は2026年10月頃から0.25%程度上昇する見通しです。既存の変動金利契約者には「5年ルール」があり返済額はすぐには変わりませんが、実質的な負担増は2027年1月以降の返済から顕在化してきます。固定金利(10年固定)は2026年6月時点で3.21%前後まで上昇しています。

勤務医への影響: マイホーム購入や投資用不動産の取得を検討している場合、借入コストの上昇を織り込んだ資金計画が必要です。すでに変動金利で借入中の方も、繰り上げ返済や固定金利への借り換えを検討するタイミングと言えます。

4. 副業・兼業ガイドラインが「原則容認」の方向へ改定

厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が改定され、「本業への支障を理由に一律禁止」という発想から「原則容認」への流れがさらに強まっています。

ただし、医師の働き方改革による時間外労働の上限規制(年960時間)は副業先の労働時間も合算して管理される点は変わりません。研修医や公務員医師は引き続き原則副業不可です。

勤務医への影響: 副業を検討しやすい環境が整いつつありますが、勤務先の就業規則の確認と兼業許可の取得は引き続き必須です。医師ブログや医療ライターなど、個人事業として行える副業については、こちらの記事で具体的な始め方を紹介しています。

5. 医師の働き方改革、B・連携B水準は2035年度末までに段階的解消へ

2024年4月に始まった医師の時間外労働上限規制(原則年960時間、地域医療確保のためのB・連携B水準や技能修得のためのC水準は年1,860時間まで)は、2026年も継続して運用されています。

厚労省はB・連携B水準を2035年度末までに段階的に解消し、最終的にすべての医療機関がA水準(年960時間)を満たすことを目標としています。月100時間以上の時間外労働が見込まれる医師には、面接指導や勤務間インターバル確保が義務づけられています。

勤務医への影響: B・C水準指定の医療機関に勤務している場合、今後10年ほどかけて労働時間の上限が段階的に厳しくなっていくことを見据えたキャリア設計が必要です。当直・オンコールの多い勤務先は、将来的に体制変更が入る可能性を念頭に置いておきましょう。


開業医が知っておくべきニュース

クリニック経営に関するイラスト。診療所の外観、上昇するグラフ、マイナンバーカード、チェックリストのアイコン。

1. 2026年度診療報酬改定、12年ぶりの大幅プラス改定(6月1日施行)

2026年度の診療報酬改定が6月1日に施行されました。本体改定率は+3.09%と30年ぶりに3%を超え、薬価等の引き下げ(-0.87%)を含めた全体でも+2.22%という12年ぶりの大幅なプラス改定となりました。

改定率のうち最も大きな割合(+1.70%)が医療従事者の賃上げ・処遇改善に充てられています。医療DX関連では、従来の「医療DX推進体制整備加算」と「医療情報取得加算」が統合され「電子的診療情報連携体制整備加算」に再編されました。算定にはマイナ保険証利用率30%以上などの実績要件が課されています。また、かかりつけ医機能を評価する「機能強化加算」の施設基準にBCP(業務継続計画)の策定が新たに盛り込まれました。

経営者への影響と対応: プラス改定とはいえ、加算の算定要件は年々複雑化・厳格化しています。マイナ保険証利用率や電子カルテ情報共有サービスの導入状況など、算定要件を満たせているか今一度確認し、取りこぼしなく加算を取得しましょう。BCP未策定のクリニックは早めの整備が必要です。

2. 医師偏在是正法が成立、外来医師過多区域で新規開業を規制(2026年4月〜)

2025年12月5日に改正医療法が成立し、2026年4月から段階的に施行されています。外来医師が過多な地域(外来医師過多区域)で病床のない診療所を新規開業する場合、地域で不足する機能(夜間救急の初期対応など)を担うよう都道府県が要請できる制度です。

要請に従わない場合はペナルティが科される可能性もあります。対象となる外来医師過多区域の候補には東京23区、大阪市、京都市、神戸市、福岡市など9医療圏が挙がっており、都市部での新規開業のハードルは今後上がっていく見通しです。

経営者への影響と対応: これから都市部での新規開業を検討している医師は、開業予定地が外来医師過多区域に該当するか事前に確認しておく必要があります。すでに都市部で開業している場合も、在宅医療や夜間対応など地域に不足する機能を担う姿勢が、今後の制度対応や地域からの信頼につながります。

3. マイナ保険証への完全移行、暫定措置は2026年7月末で終了

2025年12月2日をもって紙の健康保険証は原則廃止され、マイナ保険証または自治体発行の「資格確認書」の提示が保険診療の前提となりました。当初、期限切れ保険証などへの経過的な救済措置は2026年3月末までとされていましたが、この暫定措置が2026年7月末まで延長されています。

つまり、この記事を書いている2026年7月19日の時点で、暫定措置の期限まで残りわずかという状況です。

経営者への影響と対応: 受付窓口では、暫定措置終了後にマイナ保険証・資格確認書のいずれも提示できない患者への対応フローを今のうちに整理しておく必要があります。スタッフへの周知と、窓口での案内文の掲示など、直前の混乱を避ける準備をしておきましょう。

4. クリニックの倒産・休廃業が2年連続で過去最多を更新

帝国データバンクの調査によると、2025年度の医療機関の倒産は66件、休廃業・解散は823件となり、いずれも2年連続で過去最多を更新しました。2026年上半期(1〜6月)の倒産件数は39件と、これまで最多だった2025年上半期(35件)をさらに上回るペースです。

倒産の主因は「収入の減少」が7割超を占める一方、休廃業・解散の急増は診療所経営者の高齢化・後継者不足が最大の要因とされています。

経営者への影響と対応: 経営が厳しくなる前に、収支の定期的な見直しと早めの資金繰り対策が重要です。一方で、休廃業件数の増加は裏を返せば承継先を探しているクリニックが増えているということでもあり、新規開業を検討する医師にとってはM&A・承継開業という選択肢の広がりでもあります。

5. 高額療養費制度見直しによる受診控えへの懸念

前述の通り、2026年8月から高額療養費制度の自己負担上限が引き上げられます。患者側の負担が増えることで、特に高所得層の患者を中心に、必要な受診を控える動きが出るのではないかという懸念が医療現場から指摘されています。

経営者への影響と対応: 直接的な診療報酬への影響はありませんが、患者の受診行動が変化する可能性を念頭に置いておく必要があります。特に自由診療や高額な自費検査を扱うクリニックでは、患者の費用負担感に配慮した説明や、分割払い・後払いサービスの導入なども選択肢として検討する価値があります。


以上、2026年前半に起きた医師のお金・経営に関わる主要なニュースを、勤務医向け・開業医向けに分けてお届けしました。制度改正は今後も続きます。定期的に最新情報をチェックし、ご自身のキャリアやクリニック経営に役立てていただければ幸いです。

参考文献・情報源:

2026年度診療報酬改定の要点(ユヤマ)改正医療法成立(日本経済新聞)医師偏在是正策・開業規制の候補地(日経メディカル)マイナ保険証・暫定措置延長(HRマネジメント)iDeCo2026年12月制度改正(楽天証券)高額療養費制度改正(くらしのコンパス)日銀利上げと住宅ローンへの影響(finwell)副業・兼業ガイドラインのポイント(公的保険アドバイザー協会)医師の時間外労働上限とA・B・C水準(日本産婦人科医会)医療機関の倒産・休廃業動向調査(帝国データバンク)

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