不動産投資を行っている勤務医の知人が多いのですが、不動産投資にはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?
T先生の周囲にいる方々の中には、おそらく税金対策や資産収入を目的として、不動産投資をされている方が多いのではないかと思われます。
不動産会社から「節税のために不動産を買いませんか?」という営業を受けたことがある方も多いでしょう。しかし、不動産投資をする場合は、節税目的のときこそ注意が必要です。今回は、不動産投資によって得られる3つのメリットと2つの注意点についてお伝えします。
メリット① 家賃収入を得ることができる
不動産投資の魅力は、家賃収入のような不労所得が得られることです。 ローンを完済すれば、勤務医の方々のように、リタイア後の収入と勤労収入のギャップが大きい方々にとって、将来的に年金代わりとなることが多いです。 預貯金や個人年金保険などと比べて、月々の支払いが少なく、比較的関与度も少なく運用できるため、T様のようにまとまった金額を投資するのが難しい若い方に人気があります。
メリット② 経費の枠で使えるようになる
投資用不動産を所有することで法人を設立すると、経費枠を設けることができます。不動産事業においては、物件を見に行くための交通費や宿泊費、不動産投資に関する書籍費やセミナー代などの一定の経費を計上することが認められています。一方で、プライベートの旅行や飲食費など、不動産投資と関係のない費用を経費にすることは適切ではありません。このような行為は、勤務医の方でも税務調査に入られ、追徴税を課せられる可能性があります。したがって、専門家の助言を受けながら、適切に経費計上することが重要です。
メリット③ 保険の代わりになる
通常、1億円以上する一棟マンションや、融資が付かない古い物件などの例外を除き、投資用不動産は団信付きで購入可能です。団信があるため、万が一の場合にはローン残高がゼロになり、家賃収入がご家族の生活費に充てられます。最近は、ガンと診断された場合にローン残高がゼロになる保険商品など、死亡以外の保障効果を持つものも出てきています。 つまり、団信を保険代わりに考えることで、不要な保険を解約することができます。医師の中には、多額の保険に加入している人も多いと思われます。そのため、保険見直しと一緒に不動産投資を考えることをおすすめします。
注意点① 本業に対する節税効果はあまりない
現在の減価償却のルールでは、減価償却費という、みなし経費は、一定期間多く計上することは難しくなっているため、手出しよりも多く節税できることは期待できません。しかし、相続税評価額は、現金で保有する場合の半分以下に減額できることが多いため、相続税対策には非常に有効と考えられています。
未だに、不動産会社が不動産で節税できると謳っていることもあると聞きますが、税務処理の規則が変更されたこともあり、所得税の節税効果のみを狙って不動産投資を始めた場合、期待外れになることがあります。そのため、他のメリット・デメリットも理解した上で、総合的な投資判断をすることが重要です。
注意点② リスクがある
不動産投資には、ある程度のリスクが伴います。例えば、空室が出ることがあり、その場合は一時的に収支が悪化することがあります。また、不動産は実物資産であり、経年劣化を伴います。ある不動産会社から提供されたシミュレーション資料を見たことがありますが、空室や家賃の下落などのリスクを無視して提案を行う不動産会社や営業も存在するようです。 不動産投資を検討する場合は、空室や家賃下落、修繕費用などのリスクを考慮した投資・運用計画を立てることが必要です。
注意点③ 不動産はアフターフォローが必要
不動産会社によっては、売った後のフォローがないということもあるようです。しかし、不動産投資は単に買って終わりではありません。実際には、その後の運用方法によって、どの程度メリットを享受できるかが異なってきます。目先の節税や現時点での利回りにばかり目を向けるのではなく、包括的で長期的な視点で、そのメリット・デメリットを吟味しましょう。
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